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話すと考えがまとまるのはなぜか — 「オートクライン」という現象

10月13日
読了時間: 6分

誰かに相談しているうちに、相手はまだほとんど何も言っていないのに、「すみません、話してたら整理されました」と自分で答えにたどり着いてしまった。こんな経験はないでしょうか。


私は企業研修に年間200回以上登壇しながら、1対1のコーチングを提供しています。この「話すと考えがまとまる」現象には、コーチングの世界で使われてきた名前があります。オートクラインです。この記事では、言葉の意味と、現象が起きる理由、一人でも起こす方法を整理します。

この記事でわかること

  • 「オートクライン」という言葉の意味と出どころ

  • 話すと考えが整理される理由

  • 「話しながら考えるタイプ」という自己認識と、一人でオートクラインを起こす方法



オートクラインとは何か

オートクラインとは、自分が話した言葉を自分自身で聞くことによって、自分が考えていたことに気づく現象を指す言葉です。もともとは生物学の用語(細胞が自分の分泌した物質を自分で受け取る働き)で、コーチングの世界がそこから借りてきました。


出典: コーチ・エィ「Hello, Coaching!」コーチング用語集(2016年)。「自分が話したことば(内容)を自分で聞くことによって、自分が考えていたことに気づくこと」と定義されています。

ひとつ正直に書いておくと、これは心理学で実証が積み上がった学術概念ではなく、コーチングの現場感覚に名前をつけた業界用語です。ただ、名前がつくこと自体に価値があります。「自分に起きていたあの現象はこれか」と分かるだけで、扱い方が変わるからです。



なぜ話すと考えが整理されるのか

理由をひとことで言えば、話すためには、頭の中の断片を一列に並べる必要があるからです。


頭の中にあるうちの考えは、文章の形をしていません。イメージと単語の切れ端が、順番もつながりもないまま漂っている状態です。人に話すには、それを言葉にして、一本の線として出すしかない。この「並べる」作業が、整理の正体だと私は感じています。


そのうえで、口から出た言葉は耳から自分に返ってきます。頭の中では「分かっているつもり」だったことが、自分の声で聞いた瞬間に「あれ、これは本音と違うな」と判定できる。話す前には存在しなかった気づきが、話した後に生まれる。これがオートクラインです。


頭の中の断片は、口に出す途中で一列に並ぶ


会議で黙ってしまうのは、考えていないからではない

人には、書きながら考えるタイプと、話しながら考えるタイプがいる。研修の現場を見ていて、そう感じます(私の実感としてお読みください)。


書いて考えるタイプは、一人で紙や画面に向かうと考えが進みます。話しながら考えるタイプは、口に出す相手がいて初めて考えが形になります。後者が一人で企画書に向かうと、白い画面の前で何時間も止まります。


会議で意見を求められてもすぐに言葉が出ないのに、雑談でなら本質的なことをスラスラ言えている。もしそうなら、あなたは考えていないのではなく、口に出さないと考えが形にならない型なのかもしれません。欠点ではなく、型です。型が分かれば、対策は「考えてから話す訓練」ではなく「話せる場を先に確保すること」に変わります。



一人でオートクラインを起こす3つの方法

聞き手がいなくても、擬似的に起こす方法はあります。

  • 音声入力に独り言を吹き込む。 スマホのメモに向かって、悩んでいることをそのまま喋る。文章はめちゃくちゃでも、読み返すと使える言葉が案外残っています

  • 散歩しながら声に出す。 歩くこと自体に発想を広げる働きがあることは、歩きながら考えると、なぜ答えが出るのかに書きました。外なら、声に出すハードルも下がります

  • 「聞いてもらうだけ」を先に頼む。 家族や友人に「アドバイスは要らないから、10分だけ聞いてほしい」と先に伝えておく。自分の声を自分で聞くために話すのだと割り切ると、相談相手の選び方が変わります



それでも「聞き手」がいると何が違うのか

独り言との一番の違いは、問いが飛んでくることです。


ビジネスの場で使われる「壁打ち」という言葉は、テニスや卓球で壁に向かってボールを打つ練習が語源とされています。



壁は必ず打ち返してくれますが、同じ球しか返しません。人間の聞き手は「それは、いつからそう感じていたんですか?」と、角度の違う球を返してきます。自分では立てられない問いに答えようとした瞬間に出てくる言葉が、いちばん大きな気づきを連れてくる。コーチングをしていて、何度も目にする瞬間です。


壁は同じ球しか返さない。人は角度の違う問いを返してくる


まとめ

  • オートクラインとは、自分の話した言葉を自分で聞いて気づく現象。コーチングの世界で使われてきた用語

  • 話すと整理されるのは、頭の中の断片を「一列に並べる」作業が入るから

  • 会議で黙ってしまうのは、話しながら考えるタイプだからかもしれない。欠点ではなく型

  • 一人でも音声入力や散歩の独り言で起こせる。ただし「角度の違う問い」は聞き手からしか来ない


おさんぽコーチングは、このオートクラインを起こすための場として設計した、歩きながらの1対1コーチングです。画面越しでも受けられますし、目を合わせ続けなくていい対話は、整理される前の言葉を出しやすいものです(おさんぽ学のススメ〜視線編〜にも書きました)。話しながら考えるタイプの方こそ、一度試してみてください。


追伸:散歩中の独り言は、はたから見ると少し怪しいのが難点です。イヤホンさえ着けていれば通話にしか見えませんので、堂々といきましょう。



この記事を書いた人: 桜井夏輝(おさんぽコーチング創案者)。企業や教育機関向けの研修に年間200回以上登壇しながら、歩きながら話す1対1のコーチングを提供しています。プロフィールはこちら


<!-- meta 狙いキーワード: オートクライン とは/話すと考えが整理される 理由/話しながら考えるタイプ 検索意図: 自分に起きている「話すと考えがまとまる」現象に名前をつけて理解したい(用語検索) 抜粋(80字以内・一覧に出る): 話しただけで考えが整理されるのは偶然ではありません。コーチングで「オートクライン」と呼ばれる現象の中身と、一人でも起こす方法を紹介します。 サムネのメインコピー(12〜18字): 話すと考えがまとまるのはなぜ サムネのサブラベル(10字前後): オートクラインの話 罫線色: seiji ヒーロー画像に欲しい絵: イヤホンを着けて歩きながら話す人の後ろ姿(遊歩道・自然光・顔が写らない距離) 本文画像1に欲しい絵: 散歩の途中で立ち止まり、スマホに向かって話す(音声入力する)人の横顔か後ろ姿 本文画像2に欲しい絵: 壁打ち練習の壁とボール、または並んで歩きながら話す二人の後ろ姿 内部リンク候補(未公開記事): なし(本文の内部リンクは公開済み記事のみ使用) -->

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