部下と歩きながら1on1をやるとどうなるか — 切り出し方から雨の日まで
1on1を会議室の外に出して、部下と並んで歩きながらやってみる。研修で管理職の方にこの話をすると、興味は持ってもらえるのですが、必ず実務の質問が続きます。どう誘うのか、何分歩くのか、雨の日はどうするのか。
この記事は、歩きながらの1on1を実際にやるときの具体に絞って書きます。上司と部下の間には力の差があり、部下は上司の提案を断りにくい。だから、いちばん大事な「断れる余地」の作り方から書きます。
この記事でわかること
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歩きながらの1on1で、何が変わるのか
一番大きな変化は、沈黙が気まずくなくなることです。会議室の沈黙は「早く何か言わないと」という圧になりますが、歩いている間の沈黙は、ただ歩いている時間です。部下が考えるための10秒、20秒が、自然に確保されます。
その結果、出てくる話の種類が変わります。会議室では「報告」だったものが、歩いていると「実は少し迷っていることがあって」という相談に変わっていく。研修やコーチングの現場で繰り返し聞く変化です(歩くこと自体が発想を広げる話は歩きながら考えると、なぜ答えが出るのかに書きました)。
研究にも面白い結果があります。若い人(平均20歳ほど)を対象にした実験ですが、初対面の相手と無言のまま350mほど並んで歩くだけで、相手への印象が良くなったという報告があります。歩調も、合わせようとしなくても自然に揃っていました。
出典: Cheng ら(2020年)の実験(PLOS ONE・英語)。67名194ペアの実験です。職場の上司と部下にそのまま当てはまるとは限らない点は差し引いてください。
どう切り出すか — 「断れる二択」で誘う
切り出し方の鉄則はひとつ。部下が断っても、何も失わない形にすることです。
「今日から1on1は歩きながらにする」では、場所が変わっただけの業務命令です。おすすめは二択です。「今日の1on1、会議室と、外を少し歩きながらと、どっちがいい?」。選ばせる形なら、断る側に理由が要りません。 「歩くのはちょっと」と言われたら、笑って会議室にする。それで終わりです。
一度断られても、季節が変わった頃に「たまには外にする?」とまた聞けばいい。歩く回は前日までに伝えて、歩ける靴で来られるようにする。当日の抜き打ちにしないことも、断れる余地のうちです。

何分歩くか、どの道を選ぶか
目安は20〜30分です。60分歩きっぱなしは、体力も話題も持ちません。片道10〜15分で折り返すコースにすると、「そろそろ戻ろうか」が自然な区切りになります。
道は、3つの条件で選びます。
信号と車の音が少ない道。 信号待ちのたびに話が切れると、出かかった言葉が引っ込みます
並んで歩ける幅のある道。 縦一列になる道では、対話になりません
人とすれ違いすぎない道。 オフィス街では取引先や同僚とすれ違います。固有名詞の要る話(人事や特定の誰かの話)は外では扱わないと決めておくと安全です
記録と評価は持ち込まない — ここを混ぜると台無しになる
歩きながらの1on1は、評価に関わる話をしない場として切り分けることをおすすめします。査定や昇給、改善要求の話は、資料を挟んで会議室でやるべきものです。評価を持ち込むと、部下は次から「外に誘われた、何かあるな」と身構えるようになります。
記録も同じです。歩いている間はメモが取れませんが、これは欠点ではなく、この場の性格を決めてくれる制約です。「ここで話したことは記録に残さない」と先に言葉にして伝え、その約束を守る。 戻ってから自分用に2行だけ残す、くらいでちょうどいい。まとまっていない話をしたのに、査定にも議事録にも残らなかった。この体験の積み重ねが、「この人には途中の考えを話しても大丈夫だ」という実感を作ります。
チームの成果を左右するのは、能力よりも「安心してものを言えるかどうか」だという調査結果を、Googleが公開しています。その「安心」は、小さな約束が守られる体験から育つものだと私は感じています。

雨の日・真夏・断られたとき
原則は、無理に歩かないこと。歩くのは手段で、目的は部下が途中の考えを話せる場を作ることです。
雨の日は会議室に戻すか、社内の人の少ないスペースで横に並んで座る。「向かい合わない」効果の一部は、屋内でも残せます
真夏・真冬は季節ごと休んでいい。「気候のいい時期だけ外」で十分です
断られたら、それまでと割り切る。外で話すと落ち着かない人は普通にいます。斜めに座る・視線を外すなど、場の工夫は室内でもできます
毎回でなくてもいい。「歩ける日は歩く」くらいの緩さのほうが長続きします。
まとめ
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部下との1on1をどう組み立てるか、それ自体を歩きながら壁打ちしたい方は、おさんぽコーチングのコミュニケーションコースを使ってください。画面越しでも受けられます。
追伸:研修でこの話をすると、たまに「自分と歩くのが罰ゲームになっていないか心配です」と苦笑いされる方がいます。その心配ができる人の1on1は、たいてい大丈夫です。
この記事を書いた人: 桜井夏輝(おさんぽコーチング創案者)。企業や教育機関向けの研修に年間200回以上登壇しながら、歩きながら話す1対1のコーチングを提供しています。プロフィールはこちら
<!-- meta 狙いキーワード: 歩きながら 1on1/散歩 1on1/1on1 場所 会議室以外 検索意図: 1on1が沈黙する・雑談で終わる管理職が、場所を変える打ち手の具体的なやり方を探している 抜粋(80字以内・一覧に出る): 部下と歩きながらの1on1、実際にやるときの具体をまとめました。断れる誘い方・時間と道・記録と評価の切り分け・雨の日の引き出しまで。 サムネのメインコピー(12〜18字): 1on1は、歩きながらでいい サムネのサブラベル(10字前後): 歩く1on1の実務 罫線色: fukamidori ヒーロー画像に欲しい絵: 上司と部下らしき二人が並んで歩く後ろ姿(公園か川沿いの道・自然光) 本文画像1に欲しい絵: 分かれ道、または2方向に伸びる遊歩道(「二択」の比喩) 本文画像2に欲しい絵: ベンチに置かれた閉じたノートとペン(記録を持ち込まない比喩) 内部リンク候補(未公開記事): 04「1on1で部下が本音を話してくれないとき」(9/8公開予定)— リード直後か「何が変わるのか」の節から「場を変える視点編」として張る。本記事はその実務続編 -->



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