1on1で部下が本音を話してくれないとき — 「場所を変える」という打ち手
1on1を制度として導入したものの、「雑談で終わる」「当たり障りのない報告会になる」「こちらが話して終わる」。企業研修の現場で管理職の方から一番よく聞く悩みのひとつです。
質問の仕方を変える、頻度を変える、アジェンダを渡す。よくある改善策はどれも正しいのですが、この記事ではその前に見直してほしいものの話をします。場所です。
この記事でわかること
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本音が出ないのは「人」ではなく「場」のせいかもしれない
会議室の1on1を思い浮かべてください。密室で、机を挟んで、上司と向かい合い、相手の手元にはメモ。この配置は、構造としては面接や査定と同じです。 部下の立場からすれば、防御的になるほうが自然だと言えます。
つまり、本音が出ないのは部下の心が閉じているからではなく、場が「正しい発言」を求める形をしているから、という可能性があります。人を変えるのは難しいですが、場を変えるのは今日からできます。

視線を外す、横に並ぶ
鍵は視線です。向かい合う配置は、視線がぶつかり続けます。喫茶店で斜めに座る、社内のオープンスペースで横に並ぶ。それだけで対話の温度は変わります。
そして一番効果を感じるのが、歩きながらの1on1です。並んで歩くと、視線は自然と前を向きます。目を合わせずに話せる時間は、言いにくいことを言うためのハードルを大きく下げます。歩くことが発想を広げるという研究もあり(スタンフォード大学・2014年)、海外ではウォーキングミーティングとして定着しつつある手法です。
参考: Lifehacker Japan「ウォーキング・ミーティングのすすめ」。視線と対話の関係はおさんぽ学のススメ〜視線編〜でも書いています。
「今日は歩きながらにしようか」の一言は、上司が思っている以上に、部下にとって「今日は査定の場ではない」というメッセージになります。

明日からできる3つの工夫
場所以外にも、すぐ試せる工夫を3つ挙げます。
議題を相手に渡す。 「話したいことある?」ではなく、「次回は、いま一番モヤモヤしてることをひとつ持ってきて」と事前に渡しておく。その場で考えさせない構えが大事です
沈黙を埋めない。 部下が黙った10秒は、考えている10秒です。上司が先に埋めると、次からは考える前に「無難な答え」が出てくるようになります
メモを取る手を一度止める。 記録される場では、人は記録されていい発言しかしません。本題に入ったらペンを置く。それだけで場の意味が変わります
自分の1on1を、外からチェックする
最後にひとつ。1on1の質を上げる一番の近道は、自分自身が「聞かれる側」の体験をすることです。自分がどんな問いで思考が動き、どんな相槌で口が重くなるのか。体験として知っている人の1on1は変わります。
おさんぽコーチングでは、会議ファシリテーションや職場マネジメントを扱うコミュニケーションコースを提供しています。オンラインでも受けられるので、歩きながらの1on1を自分が受けてみる場としても使えます。
まとめ
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追伸:「メモの手を止める」は、書いておきながら自分がいちばん苦手なやつです。記録しないと忘れるので……。せめて本題の10分だけはペンを置く、で折り合いをつけています。
この記事を書いた人: 桜井夏輝(おさんぽコーチング創案者)。企業や教育機関向けの研修に年間200回以上登壇しながら、歩きながら話す1対1のコーチングを提供しています。プロフィールはこちら



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