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1on1で部下が本音を話してくれないとき — 「場所を変える」という打ち手

9月8日
読了時間: 4分

1on1を制度として導入したものの、「雑談で終わる」「当たり障りのない報告会になる」「こちらが話して終わる」。企業研修の現場で管理職の方から一番よく聞く悩みのひとつです。


質問の仕方を変える、頻度を変える、アジェンダを渡す。よくある改善策はどれも正しいのですが、この記事ではその前に見直してほしいものの話をします。場所です。

この記事でわかること

  • 本音が出ないのは部下の心ではなく「場」の問題かもしれない、という視点

  • 視線を外す・横に並ぶ・歩きながら話す、という場のつくり方

  • 明日の1on1からできる3つの工夫



本音が出ないのは「人」ではなく「場」のせいかもしれない

会議室の1on1を思い浮かべてください。密室で、机を挟んで、上司と向かい合い、相手の手元にはメモ。この配置は、構造としては面接や査定と同じです。 部下の立場からすれば、防御的になるほうが自然だと言えます。


つまり、本音が出ないのは部下の心が閉じているからではなく、場が「正しい発言」を求める形をしているから、という可能性があります。人を変えるのは難しいですが、場を変えるのは今日からできます。


Woman wearing headphones works on laptop by window
机を挟んで向かい合う配置は、構造としては査定の場と同じ


視線を外す、横に並ぶ

鍵は視線です。向かい合う配置は、視線がぶつかり続けます。喫茶店で斜めに座る、社内のオープンスペースで横に並ぶ。それだけで対話の温度は変わります。


そして一番効果を感じるのが、歩きながらの1on1です。並んで歩くと、視線は自然と前を向きます。目を合わせずに話せる時間は、言いにくいことを言うためのハードルを大きく下げます。歩くことが発想を広げるという研究もあり(スタンフォード大学・2014年)、海外ではウォーキングミーティングとして定着しつつある手法です。



「今日は歩きながらにしようか」の一言は、上司が思っている以上に、部下にとって「今日は査定の場ではない」というメッセージになります。


silhouette photo of two person inside room
並んで歩くと、視線は自然と前を向く


明日からできる3つの工夫

場所以外にも、すぐ試せる工夫を3つ挙げます。

  • 議題を相手に渡す。 「話したいことある?」ではなく、「次回は、いま一番モヤモヤしてることをひとつ持ってきて」と事前に渡しておく。その場で考えさせない構えが大事です

  • 沈黙を埋めない。 部下が黙った10秒は、考えている10秒です。上司が先に埋めると、次からは考える前に「無難な答え」が出てくるようになります

  • メモを取る手を一度止める。 記録される場では、人は記録されていい発言しかしません。本題に入ったらペンを置く。それだけで場の意味が変わります



自分の1on1を、外からチェックする

最後にひとつ。1on1の質を上げる一番の近道は、自分自身が「聞かれる側」の体験をすることです。自分がどんな問いで思考が動き、どんな相槌で口が重くなるのか。体験として知っている人の1on1は変わります。


おさんぽコーチングでは、会議ファシリテーションや職場マネジメントを扱うコミュニケーションコースを提供しています。オンラインでも受けられるので、歩きながらの1on1を自分が受けてみる場としても使えます。



まとめ

  • 本音が出ないのは「人」ではなく「場」の問題かもしれない。場は今日から変えられる

  • 向かい合わない・視線を外す・歩きながら、が場を変える基本形

  • 議題を事前に渡す/沈黙を埋めない/メモの手を止める、は明日からできる

  • 自分が「聞かれる側」を体験すると、1on1の引き出しが増える


追伸:「メモの手を止める」は、書いておきながら自分がいちばん苦手なやつです。記録しないと忘れるので……。せめて本題の10分だけはペンを置く、で折り合いをつけています。



この記事を書いた人: 桜井夏輝(おさんぽコーチング創案者)。企業や教育機関向けの研修に年間200回以上登壇しながら、歩きながら話す1対1のコーチングを提供しています。プロフィールはこちら

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