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一人で事業をやる人の4〜5割に、日常の相談相手がいない — 経営者は誰に相談しているのか

10月27日
読了時間: 5分

「気軽に相談できる相手がいない」。経営者やリーダーの方と話していると、この言葉のあとに「こんなのは自分だけでしょうか」と続く方が本当に多いのです。結論から言うと、あなただけではありません。国の統計に、はっきりした数字があります。

この記事でわかること

  • 「日常の相談相手がいない」経営者の割合を示す国の統計

  • 相談相手が「いる」経営者は、誰に相談しているのか

  • 税理士に相談できることと、できないこと



「相談相手がいない」のは、どれくらい普通のことなのか

中小企業庁がまとめた2020年版「小規模企業白書」に、小規模事業者の「日常の相談相手」についての調査があります。従業員を雇わず一人で事業を営む事業者では、製造業で約5割、非製造業で約4割が「日常の相談相手を有していない」と答えています。


一人で会社をやっている人の半分近くに、日常の相談相手がいない。相談相手がいないのは、多数派に近い状態なのです。




相談相手が「いる」人は、誰に相談しているのか

同じ白書によると、相談相手の1位は、事業の規模を問わず「税理士・公認会計士」。小規模事業者の2位は「同業種の経営者仲間」でした。


考えてみれば順当です。税理士は定期的に数字を見てくれて、守秘義務があり、社内の利害の外にいる。経営者がいちばん定期的に会う社外の専門家に、相談ごとが集まるのは合理的です。


経営者がいちばん定期的に会う社外の専門家は、多くの場合税理士


税理士に相談できること、できないこと

ただ、ここで立ち止まって考えたいことがあります。税理士・公認会計士は、数字と制度の専門家です。資金繰り、節税、設備投資の数字面。この領域で、これほど頼れる相談相手はいません。


一方で、経営者の悩みには数字にならないものがあります。「この事業を続けたい気持ちが、薄れている気がする」「人に任せられない自分は、器が小さいのだろうか」。こうしたまだ言葉になっていない迷いを数字と制度の専門家に相談するのは、税理士の力不足ではなく、そもそも守備範囲が違うのです。


つまり、「相談相手がいる」と「何でも相談できる相手がいる」は、別の話。相談先の1位が数字の専門家だからこそ、数字にならない悩みの行き場は空いたままになりやすいのです。



「相談相手がいれば利益が増える」わけではない

白書にはもうひとつ、相談相手を有する者のほうが経常利益が「増加」と答えた割合が高い、というデータもあります。相談相手を仕事にしている人間としては引用したくなる数字ですが、正直に書くと、これは相関であって、因果ではありません。


「相談相手を持てば利益が増える」とは言えません。余裕のある会社ほど外の専門家に頼るお金と時間を持てる、という逆向きの説明も同じだけ成り立つからです。読み取っていいのは、「うまくいっている経営者には、一人で抱え込んでいない人が多いようだ」という程度のことだと思います。



なぜ、相談相手が見つからないのか

相談相手がいない理由は、約7割が「適切な相談相手とのつながりがないから」でした。相談したくないのではなく、「この話を持っていける相手」に出会えていないのです。


ハーバード・ビジネス・レビューには2024年、経営トップの孤独は人付き合いの少なさではなく「決める重荷」を一人で背負うことから生じる、という論考が載りました。友人が何人いても、最終決定の重さだけは分かち合えない。「適切な相手が見つからない」の中身は、これだと私は感じています。



決める重さは、頭数では分かち合えない


相談相手は、一人に全部でなくていい

私の提案はシンプルです。「誰に・何を相談するか」を分けて持つこと。

  • 数字と制度は、税理士・公認会計士に

  • 業界の相場観や実務の知恵は、同業の経営者仲間に

  • まだ言葉になっていない迷いを出す先を、ひとつ確保する

3つめの相談先が、コーチや壁打ち相手と呼ばれる存在の守備範囲です。「いま空いているのはどの席か」から考えると、探しやすくなります。



まとめ

  • 2020年版「小規模企業白書」(対象は小規模事業者)では、従業員を雇わない事業者の約4〜5割に日常の相談相手がいない

  • 相談先の1位は規模を問わず税理士・公認会計士、小規模事業者の2位は同業の経営者仲間

  • 税理士は数字と制度の専門家。言葉になっていない迷いは守備範囲の外

  • 「相談相手がいる人ほど利益が増加」は相関であって因果ではない

  • 相談相手は「誰に・何を」で分けて持つ


おさんぽコーチングは、この3つめの相談先 — まだ言葉になっていない迷いを言葉にする時間 — を、歩きながらの1対1で提供しているサービスです。オンラインおさんぽなら、画面越しやイヤホン通話でも受けられます。数字の相談は済んでいるのに、なぜかすっきりしない。そんなときの選択肢のひとつにしてみてください。


追伸:4〜5割という数字に、少しほっとした方もいるのではないでしょうか。ほっとしてええと思います。



この記事を書いた人: 桜井夏輝(おさんぽコーチング創案者)。企業や教育機関向けの研修に年間200回以上登壇しながら、歩きながら話す1対1のコーチングを提供しています。プロフィールはこちら


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